福本伸行さんが異彩を放ってる漫画「天」にしびれた件

 

前にこのブログでも紹介した気がしますが、「天」っていう麻雀漫画があるんですよ。カイジで有名な福本伸行さんが書いた漫画ですね。

これは結構昔の漫画で、もちろんカイジより全然前の作品なんですが、これが今読み返しても最高に面白い。てか痺れまくりです。

 

天?天和通りの快男児 1

天?天和通りの快男児 1

 

 

麻雀漫画と言えば坊や哲が有名ですが、僕はこの天が一番好きなんですよね。もう登場キャラがいちいちカッコイイんですもん。

んで、僕が一番好きなのは銀次っていう初老のじいさんなんです。この銀次がマジでヤバイ。昨日も朝早くから天を読んで、銀次に痺れてました。

 

 

銀次の得意技はガン牌、ようは牌に印を付けて、相手の手配や山に積まれてる牌を見るってやつなんですが、これが最高にカッコイイんです。

坊や哲の印南の場合は、もうヒロポン打つたびに透けてくるみたいなことだったじゃないですかw でも銀次は違います。その種明かしもあって、そこもまた痺れるポイントなんですよ。

印南みたいなメチャクチャじゃなくて、理に沿ったタネがあるっていう。

 

もうね、この天はヘタな電気風呂より痺れますよ。読んでるあいだじゅうずっとですもんw

 

☆☆☆

 

銀次以外の痺れポイントも沢山あるんですが、そのひとつが名言です。

もう話をまたぐ毎に名言が飛び出すっていう、ありえない状態なんですよね。

ちょっと自分の印象に残ってるところをいくつか紹介しましょう。

 

別領域からの刃。リーチ遇機(ぐうき)待ち

 

これは天に出てくるアカギが放ったリーチなんですが、なんと待ちは遇機なんですよ。ようは偶然の機会を待つってことですね。

「やつの金庫の鍵穴は遇によって満ちる」って言いながら放つんですが、これぞ天才、これぞアカギの真骨頂と言えるでしょう。その辺の凡人には真似できない待ちです。

上がれればいいですけど、そうでなかったら爆笑ものですもんね。

 

無色無臭の混一色、虚空を切る

 

これはアカギ以前に裏の麻雀界に君臨してた男、僧我の場面ですね。

気配を殺すように混一色の黙聴(だまてん)で待ってたんですが、結局上がれないんです。

んで、そのときの表現がこれ。福本さんの表現力にただただ脱帽しました。

 

まだ場は揺蕩っている(たゆたっている)

 

まだ場は揺蕩っている、なんてセリフも飛び出したりするんですけど、こんなの聞いたことあります?しかも麻雀の場でですよ。

意味としては、ゆらゆら動いて定まらない、なんてことですが、これが飛び出しても全くおかしくない世界観が素敵です。

 

☆☆☆

 

他にも100個くらい名言はあるんですが、キリがないので、このくらいにしておきましょう。

 

んで、この天を読んでて、何にビビるかっていうと、福本さんの構成力なんですよね。これが異彩を放ってます。

 

間違ってたら申し訳ないんですが、坊や哲とかだと、大技が出てお終いって感じじゃないですか。サッカー漫画で言えばキャプテン翼みたいな感じですね。

でも天だと、普通に進行するんですよ。ようはみんなの配牌がこれで、それで誰がなにをツモって、なにを切るかってところまで。

その中で、これだけの名シーンと名言を出せるのが本当にすごい。それって最初から終わり方を決めてて、それを成すための構成を全部考えてるってことですからね。

 

破綻せずにこれを出来るっていうのが、素人ながらマジですごいと思います。

気付いたとき、自分の中でざわざわが止まらなかったですよ。

 

福本さんのと言えば、カイジが圧倒的に有名だと思うんですが、その真骨頂を発揮してるのは天だと思います。

ダウンタウンにとっての「おかんとマーくん」にあたるのが、福本さんにとってのカイジではないかと。

ようするにライトな部分ってことですね。

 

天こそ福本さんの異彩を感じるし、何度も読み返してしまいます。

麻雀のことを全然分からない人は、最後の3巻だけでも読んでみてください。

確か16〜18巻だったと思うんですが、そこに人生で一番大切なことが書かれています。

 

アカギってキャラが死ぬんですが、その間際に金言を残していくんですよ。

金や肩書や名誉は大事なことじゃない。それは人生の飾りにすぎない。なんてくだりから始まる金言が出てきます。

 

人生で一番大切なことは、僕はアカギに教わりました。飾りに固執せず、実を取る人生を歩みたいと思っています。

 

えー、そんな感じで、天って漫画がヤバすぎる、電気風呂より痺れるぞって話でした。

 

天?天和通りの快男児 1

天?天和通りの快男児 1